コロナ禍における病床確保料の効率性 : 情報開示請求による病院別個票データの解析
Abstract
コロナ禍の2020〜2023年度においては、国から都道府県を通じて、医療機関に対して約9.4兆円の緊急包括⽀援交付⾦が交付され、うち約80%(7.5兆円)が感染者⽤の病床確保料として各病院に交付された。その⼀⽅で、こうした補助⾦と感染者受⼊状況に関する評価は、各病院の補助⾦受領額と感染者の受⼊数が⾮公表となっているためほとんど⾏われていない。そこで、我々は病床確保事業終了(2023年9⽉末⽇)後、2024年2⽉より全ての都道府県に対して情報開⽰請求を⾏い、病床確保料の交付対象や交付時期の適切性について定量的に評価した。各都道府県に対して、①第3波から第9波までのピーク時、及び感染収束期(ボトム時)の確保病床数と受け⼊れ患者数、及び②2020年度から2022年度までの年間の病床確保料受領額(病院単位)の情報開⽰請求を⾏なった。分析においては、39都道府県における1,798病院のデータが解析対象となった。病床規模別に⾒ると、確保病床数が10床未満である⼩規模確保病院が806病院(45%)であった。多変量解析の結果、確保病数が10床未満の⼩規模確保病床である場合に、ピーク時において幽霊病床状態(同⼀都道府県かつ同時点における平均病床利⽤率の7割未満の利⽤率)に⾄る確率が⾼まった(0.17:95%CI 0.14-0.19)。また、全体として、多くの都道府県において、感染収束期でもピーク期と同程度の病床確保が続けられており、この傾向は病床確保が始まった第3波から2年半が経過した第8波になってもほぼ変わらなかった。ただし、医療施設開設者によっても傾向が異なり、都道府県⽴病院については、同程度の規模の⺠間病院と⽐較して、確保病床数は多く、かつ第5波の収束までは、感染拡⼤期には確保病床が増え収束期には確保病床が減るという調整ができていた。このことから、病床確保事業の運営責任者である都道府県のガバナンスが働く医療機関は、相対的に病床の効率的な運⽤ができていたことが⽰唆された。
Fields of Study & Subjects
Healthcare Policy and Management
Healthcare Quality and Management
Legal
Health
Environmental and COVID-19 Challenges
Publication details
- Journal / source
- Institutional Repositories DataBase (IRDB)
- Volume
- 195
- Publication date
- 1 January 2026
- Language
- JA