感音難聴に対する内耳遺伝子治療の現状と展望
Abstract
感音難聴は乳児から高齢者まで広く影響を及ぼす主要な疾患であり, その多くは遺伝的背景に基づくことが明らかになってきた. 近年のアデノ随伴ウイルス (AAV) ベクター技術や内耳への投与法の進歩により, 疾患の根本原因にアプローチする内耳遺伝子治療が現実的な治療選択肢となりつつある. 特に OTOF 遺伝子病的バリアントに対する臨床試験では, 聴性脳幹反応閾値の改善が報告され, 国際的に大きな注目を集めている. また GJB2 遺伝子を標的とした研究も国内外で進展しており, 非ヒト霊長類モデルでの検証を経て臨床応用が期待される. 内耳標的細胞への送達効率, 免疫応答の制御, 倫理的配慮などの課題は残るものの, 本治療は補聴器や人工内耳といった従来の聴覚補償デバイスとは一線を画す根本的治療法として期待される. 今後, 遺伝子診断と連携した個別化医療の進展により, 感音難聴治療は新たな時代を迎えるだろう.
Fields of Study & Subjects
Hearing
Cochlea
Tinnitus
Genetics
Hearing Loss and Rehabilitation
Vestibular and auditory disorders
Publication details
- Journal / source
- Nippon Jibiinkoka Tokeibugeka Gakkai Kaiho(Tokyo)
- Volume
- 129
- Issue
- 1
- Pages
- 1–10
- Publication date
- 20 January 2026
- Language
- EN