Consideration of Timing for Temporary Pacemaker Wires Removal after Heart Valve Surgery
Abstract
[背景]当院では開心術全例にペーシングリード(リード)を縫着し術後1週間以降に抜去する方針としていた.しかしリードに起因する感染症が疑われ長期抗生剤投与を要する症例を認め課題となった.そのため2022年1月からはリードを早期に抜去する方針とし,その効果を検証した.[対象・方法]2020年8月から2024年12月までに当院で施行した待機的弁膜症手術症例(感染性心内膜炎,恒久的ペースメーカー植え込み症例を除く)133例を対象とした.リード抜去時期の方針を変えた2022年1月を境とし,ペーシングが不要でも術後1週間以降に抜去していた前期を長期群(48例),ペーシングが不要な場合には術後2日目に抜去する方針とした後期を早期群(85例)とした.今回,2群間での,(1)リード培養陽性率・感染兆候の有無,(2)心嚢ドレナージの頻度,(3)一時的ペーシングを要した頻度を観察し,ペースメーカーリードの早期抜去の妥当性を検討した.[結果]2群間で患者背景および手術因子に有意差はなかった.早期群で術後2日目にリードを抜去できたのは61%で,留置期間は長期群:10.6±6.7日,早期群:4.3±4.9日だった(p<0.001).リード培養陽性率は,長期間群:35.4%,早期群:12.9%と早期群で有意に低かった(p=0.004).検出された菌は長期群ではMRCNSが,早期群では表皮常在菌が多かった.CRP値は術後1週間目,2週間目ともに早期群で有意に低くかった.一方,38℃以上の発熱や追加点滴抗生剤治療を要した頻度,さらに縦隔炎と診断された症例数は長期群で有意に高かった.術後入院日数は,長期群:39.7±33.5日,早期群:24.4±18.3日と早期群で短かった(p=0.001).抜去日の血小板数は早期群で有意に低く,PT-INR値は長期群で有意に高かったが,術後に心嚢ドレナージを要した頻度に有意差は認められなかった.また,早期群で2日目に抜去したが,その後にペーシングが必要となった症例は,術後6日目に一過性完全房室ブロックを生じた1例のみであった.[結語]弁膜症術後早期(術後2日目)にリードを抜去しても,心嚢ドレナージや一時ペーシングの頻度は増加しなかった.一方,感染のリスクは減少し入院日数短縮にもつながる可能性が示唆された.術後2日以降もペーシングを必要とした症例でも可及的早期にリードを抜去することが望ましいと考えられた.
Fields of Study & Subjects
Infective Endocarditis Diagnosis and Management
Cardiac Valve Diseases and Treatments
Cardiac pacing and defibrillation studies
Publication details
- Journal / source
- Japanese Journal of Cardiovascular Surgery
- Volume
- 55
- Issue
- 1
- Pages
- 1–6
- Publication date
- 15 January 2026
- Language
- EN