AI倫理は、なぜいつも少しズレるのか ――責任を「考えないもの」に預けてしまう社会について
Abstract
本稿は、現代におけるAI倫理議論がなぜしばしば現実と噛み合わない形で展開されるのかを、責任の外在化という観点から分析する。 多くのAI倫理言説は、AIを自律的な判断主体として仮定し、その出力結果に対して倫理的評価や制御を加えようとする。しかし大規模言語モデルは意思決定主体ではなく、人間社会が残してきた思考や判断の痕跡を条件付きで再構成する装置にすぎない。 本稿は、AIを人格化し責任を負わせようとする態度が、倫理的配慮ではなく免責の機能を果たしていることを指摘する。結果のみを批判し、設計・運用・文脈・インセンティブといった人間側の判断構造を問わない倫理は、問題解決能力を持たない。 結論として、本稿は倫理とはAIの振る舞いを裁くことではなく、責任の所在が追跡可能で引き受け可能な位置に配置されているかを問い続ける営みであると位置づける。
Fields of Study & Subjects
Ethics and Social Impacts of AI
Cybernetics and Technology in Society
Literary and Philosophical Studies
Publication details
- Journal / source
- Zenodo (CERN European Organization for Nuclear Research)
- Publication date
- 18 January 2026
- Language
- JA
- Document type
- Preprint